相手が提示した契約書(規約)のチェック

1 相手方が提示した契約書

 取引をされていると、相手方から契約書(タイトルは、合意書、覚書、契約書、基本契約書など様々です)を提示される場合があります。 相手の提示した契約書が、市販のものやネットにあるひな形を使用している場合は、害は少ない(それでもデメリットとなる条項があったりします)ですが、そうでない場合には相手方に一方的に有利な条項が記載されていることもあります。

2 強行法規に反する条項を敢えて置いている場合

 ある製品の製造委託に関する契約において、元請業者が下請業者に対し提示した契約条項の中に、例えば元請業者が欠陥ありと判断した場合に自由に納品された製品を返品できる旨の規定や代金の支払いを120日後にする規定などがある場合があります(下請代金支払遅延等防止法に反する可能性があります)。 元請業者の場合には、行政庁による勧告、場合によっては違反事実の公表となる可能性があり、レピュテーションリスクが実現してしまい、会社の社会的信用を失墜することになります。 下請業者の場合には、力関係から、取引条項について交渉することは難しいですが、強行法規については上記の点について指摘したほうがよいでしょう(「顧問弁護士から下請法に反しない特別の理由があるか聞いてほしいと言われたので、確認させてください。」と言うと角が立たないと思われます。)。また、指摘しないまでも、返品や入金管理についての書類を保存して、特に代金については下請代金支払遅延等防止法による遅延損害金請求(年14.6%)ができるように証拠を確保しておく必要があります。

3 あいまいな条項を置いている場合

 例えば、代金の支払について、「商品・サービスの品質が不十分と認められる場合に支払額・支払時期について別途協議する」という条項がある場合、合格となる品質について特に合意(成分Aが10%以上など)をしておかないと、代金を支払う側が、品質不充分と主張して代金を支払わない場合があります。 また、代金支払いに関する条項で、「~までに支払う」ではなく、「~までに支払うものとする。」という表現も、疑義がある表現となります。

4 主語がない条項がある場合

 たまに、敢えてなのかミスなのか分かりませんが、主語がない条項があることがあります。紛争になったときに、「この条項の主語は当社を意味するから本件では適用がない」と主張するためかわかりませんが、修正を要します。

5 その他相手方に一方的に有利な契約条項

 上記以外にも、相手方に一方的に有利な条項としては、相手方は無予告でいつでも契約を解除又は解約することができる規定(当社側は一定期間経過しないと解除又は解約できない)、期限の利益の喪失条項で相手方の期限の利益喪失事由として、破産開始決定などとしている規定(通常は「破産申立て」とする例が多いです)などがあります。 契約の条項だけを読んでも、それが問題となる状況やテマヒマカネが将来かかるのかという知識がないと、修正案を考え出すのは難しいと思います。

6 お困りの場合には

 相手方から提示された契約書案で良いかわからないなどのことでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。 ご相談のご予約は、https://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。

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